202

エレットゥリコ・クオイオ……電撃をうけ流す皮膚。
マフィアの子だとは知ってたけど、子供に繰り返し電撃を流して
こんな特性を身につけさせるなんて……マフィア超コワイ。

「敵を討つ雷撃らいげきとなるだけでなく、ファミリーへのダメージを
一手に引き受けて消し去る避雷針となる…それが雷の守護者の使命だ」

守護者1人1人こんな重たい使命背負っているのかな。
景品と言われて戦わされることなく脳天気にかまえていた私にも
ご大層な使命なんてあったりして……と考えて青ざめた。
期待を裏切りやすい女だと自覚症状はある。

そうこうしているうちにランボが何か筒状のものに入っていった。
獄寺やツナは十年バズーカがどうとか言ってるけど……。

「ええええっ」

爆発の後、煙が晴れると色っぽい少年が餃子ぎょうざを食べていた。
最後の晩餐が餃子にとか呟いてるけど、君もそこなの!?
急によばれてビックリしないってことは、何度かきてるのかな。

「ちょっとツナ…らっランボ君が消えたけど!?」

「あっ…それは」

さん!?」

なっ……なんか名前知られてる!?
少年が大股で近づいてきたかと思えば急に手をとって口づけされた。
顔から思わず湯気が出そうなほど熱が集まる。
そんな私にクスッと少年は笑うと口づけした手を両手で大事そうに握られた。

「まさかこの時代のアナタに会えるとは……。
相変わらずアナタはとても愛らしい」

「えっと……あの、私達…初対面じゃ」

ツナが実は10年後のランボだと説明したのでビックリした。

「ランボ君……大きくなったねぇ!!」

なんだか親戚のおばちゃんの気分だ。
10年後ということは私達とほぼ同年代くらい。
癖のある黒髪はアフロより落ち着いていて可愛かったタレ目も
色気のあるチャーミングな要素として残っている。

これはモテるだろうなぁ。子供のうちから優しくしておこうかなと
よこしまな考えがよぎるもすぐにチェルベッロが試合に戻れと促したので
ランボが戻っていくのを名残なごり惜しく見送った。

よかった。あの姿ならまだ戦えそう。

「サンダー・セット!!」

すさまじい電がランボのツノに落ちた。身体からもバチバチと雷が溢れている。

電撃角エレットゥリコ・コルナータ!!」
ランボがツノに雷を宿したまま敵のレヴィに突進していった。
なっなんか分からないけどランボ君がんばれ!!
しかし敵側も傘を広げて攻撃を出してきた。四方八方に飛び散る8本の傘。

「レヴィ・ボルタ!!」

「傘!?」

「なにあの電流!?」

敵の攻撃がランボに直撃する。かなりの電流をくらって悲鳴をあげるランボ。
それもそのはずだ。あんな電撃をくらっても平気だったらやばい。

「まずいな、ランボの体質を持ってしても…あの電圧にはたえられねぇゾ」

「そっそんな……」

「切り刻んで焼き肉にしてやる」

やばい、相手はマジで殺しにきてる!?
思わず悲鳴をあげそうになったが、次の瞬間ランボは敵の攻撃をよけて
会場とは真逆の方角に走り出していた。

「痛いよぉおお!!」

に…にげていいとは言ったけど。
しかもすぐまたあの10年バズーカに飛びこんだ。
ツナと祈るような気持ちで見つめる。
10年後の10年後だから……20才は超えてるはず……。

その瞬間、ビリッとした空気があたりに散った。
それはまるで身体に電流をくらったかのような衝撃。
電気を流されたわけじゃないのに心臓がドクッと大きく跳ねる。

「あなた達にまた会えるとは……ん?」

視線があった。色っぽいエメラルドグリーンの瞳が一瞬見開かれると
すぐに先ほどのように大股でズカズカこちらに近づいてきた。

「なっなに…えっとランボ君…!?」
ビックリして硬直していると、スッとそれはもう自然に
私のすぐ真横にかがんだかと思えば頬にキスされた。

かさついた男の唇。鼻腔びくうをくすぐる清涼感のある匂い。
男性用のコロンとこれは……男性ホルモン(テストステロン)ってやつ……?
かなりの色気に思わずクラッと意識が飛びそうになると、男はガッシリとした腕で支えた。
ツナ達も呆気にとられている。私も心臓がバクバクして何がおきたか分からない。

けれどクスッと大人の笑みで微笑むと頭を優しく撫でられて囁かれた。

「この時代のアナタは本当に愛らしい。――今のアナタならまだ誰の物でもないから
俺でも手が出せたかも知れないのになぁ」

「へっ」

チュッと投げキッスをしながら意味ありげな言葉を残すだけ残して
20年後ランボはそのまま会場に向かっていってしまった。
頬を紅くしたまま、キスされたほうの頬を押さえて
なんだったんだと私の心に青いイナズマを落とした彼を責めてやりたかった。

また傘が四方八方に飛び散った。傘に雷の電気が蓄えられていく。
さらにサーキットの電力もくわわって……恐ろしいほどの電圧がランボを襲う。
すさまじい稲光で目をあけているのもやっとのほどだ。

「ランボ君!!死なないでっ!!!!」

なんとか喉から振り絞るように叫ぶと、雷の中から低い声がハッキリと答えた。

「ああ。俺は死なないさ」

そのまま拳を地面につきたてると、そのまま電流を地面に放出しきってしまった。
これには私達だけじゃなくて、敵のレヴィも目を見張る。
しかも電撃角の攻撃がまさか伸びるなんて。これならいける!!
だが、無情なことに寸前で5才のランボに戻ってしまった。

「えっ……」

「10年バズーカは5分間で元に戻る」
最初の1回から5分だったんだとリボーンの説明に頭がガンガンしてきた。
そんな……せっかく勝機が見えてきたのに!!

「ハッ。ランボ君!!」

とどめをさそうとするレヴィ。どうしよう、どうしよう!!
なんとかしなきゃ……でもどうすれば!?

私の横を何か炎が横切った。それはとても温かい炎。 Page Top Page Top