可愛い。幼女、さらいた……ダメだ、ノータッチノータッチ。
心に言い聞かせる。

「俺にはまったく理解できないっすよ!!なんでこんなアホにリングが!!」

いつものように獄寺は悪態をついているが、違和感がある。

「…リング?」

私の言葉にツナがあっと何か気付くと少し申し訳なさそうにした。


「そっか。はまだ守護者が誰なのか知らないんだっけ?」

「うん。確かツナがマフィア確定だとしか分かってないかも」

「いや!!そこは確定しないで!!」
まだ挽回ばんかいできるとかブツブツ言ってるツナには悪いが、私と同様
彼も逃げられない運命な気がする。仕方ない、諦めて。私は諦めたくないけど。

改めて、ここにいる人達を見回す。今の流れからだと
腕にバンテージぐるぐる巻きの少年、山本、獄寺、ランボ、そしてツナ。
多分この5人は守護者……そしてマフィア確定という認識でよさそう。
私の脳内フォルダで知り合い以上、フレンド未満からマフィア(危ない人達)に同期していく。

「それにしても……ランボ君もイーピンちゃんも何ともなくて良かったね」

可愛い男の子にも君もねと微笑むと男の子は少し照れた顔でフゥ太と名乗った。

「フゥ太君か。――フゥ太君もこの二人を守ってくれてありがとう」

ツナも私の言葉に賛同するように頷く。
脅威がさって安心する私達に、リボーンが落ち着いた声で釘をさした。

「こいつらはヴァリアーの中でも下っ端だゾ。本当に怖ぇのは……」

ヴァリアー……?――あー、あの銀髪ロン毛の人がいる集団か。
リボーンが急にくちをつぐんだので皆で何を言うか待っているとそれは起こった。

「くるぞ」

え、何そのやばいやつがくる感じのトーン。
リボーン君冗談でもそんなこといっ……何かきたー!?
雷の守護者を探していてランボを睨み付けるいかつい顔面ピアス全身黒ずくめの間違いなく犯罪者顔の男。

慌てて否定するツナに、雷の守護者というのがランボなのかと納得するも
まって、守護者の中でも……というかこの中で一番幼い子が狙われてる……!?
焦る私。しかしまだ状況が飲み込めていないので下手なことを言って墓穴ぼけつをほるのは避けたい。
ランボを隠すように、震える足で前に出る。――皆も自ずと臨戦態勢りんせんたいせいに入ったように男にかまえた。

「まったレヴィ」

え……なんかゾロゾロきた……。
全員おそろコーデかな。暑そう、あと見た目の威圧感怖い。
普通に立ってるだけなのになんだろう、殺気というのか。
空気がビリビリする。ここから逃げたい。いつものことだけど。
絶対登場の仕方が強キャラじゃん。そしてもれなくこいつら仲間じゃん。
服装もだけど、空気感が人殺しのオーラだもん。

「う゛ぉおおい!!よくもだましてくれたなカス共!!」

叫ぶツナと私。あの時の銀髪侍……あ、それは銀さんだ。
とにかく、あの時意気揚々とイキってリング持ち帰ったやつだ。
あ、でも顔は笑ってるから気にしてな……うん、殺すとか言ってるし
ニセモノだったこと気にしてるねおもいっきり。

嵐の守護者だと告げた山本を三秒で切り身にするとか笑顔で宣言してて
ナチュラルに怖い。――ギャルがトイレを一秒でもどってくっから~と言うのとはわけが違う。
私なんかだと1できられて、2でポン酢、3秒目で口に運ばれそう。
前回のリング奪われた件も、手際よかったもん!!

涙目で、この世の終わりがくるのが早すぎると
神とか仏とかその他いろいろな宗教に心で抗議していると
さらにいかつい奴が出てきて、ちびりかけた。――なんだこのいかついマトリョーシカ。

次に誰か出てきたらそいつが一番やばい奴だなと思った私の予想はあたる。
なんとツナのお父さんが門外顧問もんがいこもんとか言うどエラい役職の人らしい。

リボーンのボンゴレリングの説明をきく私達。
なるほど、だからどこか中途半端なリングの状態だったのね。
あれ?でも私も守護者とかいってたよね?
ならリングもあるのかなと考えていると、リボーンが私の心を読んだのか
のリングはボンゴレで保管しているとうなづいた。

「ボンゴレ公認の決闘を開始する」

ツナのお父さんの言葉に、ツナと私もええっと驚く。
ドッジボール大会とかじゃないんだよ!?決闘だよ?
この人意味分かってて言ってる!?
しかも相手これだよ?ツナ達と塀の上でポーズとってるヴァリアーの人達を交互にみる。
――モルモットとライオンが戦うみたいなもんだよ?

あたふたしていると、ツナ達の名前が呼ばれていく。

「同じリングをもつもの同士……一対一のガチンコバトルだ!!」

さも当然のように言うツナパパ。そしてそれに何も言わない皆。
あれ、私の感性が……私だけ危機感がおかしいのでしょうか。

神様、もうねあなたに苦情を人生で一万通以上送っているヘビーリスナーだと思ってます。
もう……疲れたよパトラッシュ。どうして、私の人生はバグっているんですか?これで1万1通目ですね。
次に生まれてくる時は弱者じゃありませんように。

その後もチェルベッロ機関とかいう双子のようにおそろいの姿をした
黒い目元だけ覆う仮面をした女性が出てきて、並盛中で決闘を行うことを宣言した。
しかも命をかけたものらしい。ほらね!!決闘だもんね、そりゃそうだよねと涙目でいると
ふいに二人は私の方を見た。それにつられて皆も私を見る。

「このお嬢さんは……」
ツナパパの言葉に続いて、スクアーロもまた会ったぞと叫んでいる。
え、あれ……さっきまでムシという方向できまってたよね?私の配役。
急に舞台に引きずりだされた。舞台の真ん中に踊りでるほどの役どころじゃないと
ポルノグラフ○ィの歌詞じゃないけど自分も分かっている。

「あなたはこの決闘の唯一の景品となります」

「け……景品!?」

いまいち飲み込めずにぽかーんとしていると、他のメンツが抗議の声をあげてくれた。
優しい人達だなと思うも、ヴァリアーの人達は当然だと言わんばかりに頷いている。

「決闘に勝ったものがリングを手にするのは当たり前です。
――しかし、あなたは決闘で勝ち取ることは出来ない」

「っなら……私は放っておくという方向では「ダメです」…ですよね~」

「アナタは自分の価値を分かっていますか?」

「か…価値ですか?」

自己肯定感低めなのをさしひいても私にさほど価値があるとは思えない。
しかし皆が守護者だなんだと騒ぐことも事実だ。

「しゅ……守護者としての?」

探るように質問で返したが、彼女達は頷いた。

「それもあります。――しかし一番はアナタを一族の花嫁にすることです」

「はい?――意味が……」

「う゛ぉおいっなんも聞いてねぇんだなぁ?」

スクアーロに向き直ると、私をビシッと指さして宣言した。

「テメェが時期ボスの妻になる。――これがヴァリアーの……いやマフィアが
この世界で大成する必須条件だ!!……俺たちも不本意だが、お前はいずれこっちに来てもらう」

え、よく分からないんだけどとツナを見るとツナもわけがわからないと言った顔をしていた。
しかし獄寺やリボーン君、ツナのお父さんの表情が曇っていたこともあり
そういう都市伝説のような話もあるのではないか……と怖くなる。
人権問題どうなってんの?さ、最低限の保障とかえっと婚姻こんいんの自由とか!?

しかもボス候補の人って、ツナとあの怖そうなスカーフェイスで
首にチンチラみたいなのまいてる怖そうな人じゃん。
呼吸をとめて1秒どころか、誰か心臓もとめて欲しかった。

家光が決闘中に私をどうするかと二人の女性に尋ねていた。
彼女達は淡々とした口調で、九代目の元で一時預かると続けた。

相変わらずそこに私の意志はない。
もう一度いう。私の意志はない。私は一言も、そんなことっ、言ってない。
しかし、私を無視して進んで行く。
それに私はもう諦めてそうですよねという顔でうなずくしかない。
なぜなら、疑問をもつとつらいから!!

確かに、決闘にしゃしゃり出て行ける度胸どきょうも強さもない。
かと言って、さっきのスクアーロの宣言を聞く限りでは
私の身が危ない気もする。
黙って、頷いて、困ったように笑う……いつもみたいにそれしか出来ない自分が
この時は一番殴りたくなった。

-----第一章END------

【あとがき】
長かったですね~。
前半はほとんどオリジナルストーリーで
ヴァリアーと同居することをかかげてたくせに
そのヴァリアーとすら会ってねぇんじゃねぇかと
私自身もツッコミ入れたくなる遅さでした笑

一応、第二章からツナファミリーとヴァリアーの決闘
そして夢主がどうなるのか描いていく予定です。 Page Top Page Top